【オシフィエンチム共同】第2次大戦中、ユダヤ人ら110万人以上がナチス・ドイツに殺害されたポーランド南部オシフィエンチムのアウシュビッツ強制収容所跡で27日、解放から74年の式典が開かれた。生存者やポーランドのモラウィエツキ首相らが犠牲者を追悼。訪問者数は昨年、215万人と過去最高を記録したが、生存者は年々減り、次世代への記憶の継承が課題になっている。
式典はアウシュビッツに到着した人々が消毒を受けた建物で行われ、ユダヤ人生存者のレオン・ワイントラウプさん(93)が「収容所の煙突から人間を焼く黒い煙が常に上がっていた。ここは殺人工場だった」と振り返った。
【AFP=時事】ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相は27日、第2次世界大戦(World War II)中のホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)の責任は、ナチス・ドイツ(Nazi)にあるのではなく、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)支配下のドイツという国家そのものにあったと発言した。
ポーランドは同日、戦時中にユダヤ人が大量に虐殺されたアウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)強制収容所の解放から74年を迎えた。
南部オシフィエンチム(Oswiecim)で行われたホロコースト記念日(Holocaust Memorial Day)の式典で、モラウィエツキ首相は「ヒトラーのドイツは、ファシズムの思想に支えられた」と指摘した上で、「だが、あらゆる悪はこの国(ドイツ)からやってきた。われわれは、それを忘れることはできない。でなければ悪を相対化することになってしまうからだ」と述べた。
首相はさらに、「ポーランドは真実の守護者として行動する国だ。真実は、どんな形であっても相対化されてはならない」と主張。「私はここで、あの時代に関する完全な真実を(保存すると)約束する」と付け加えた。
ポーランドでは昨年、ナチスの犯罪にポーランド国民や国家が加担したと主張した者に刑事罰を科す法律が成立。イスラエルや米国の反発を受け、罰金や禁錮刑を科すとの条項を削除する改正を行っている。
ナチスが占領下のポーランドにつくったアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所では、1940~45年に100万人ものユダヤ人のほか、10万人に上る非ユダヤ系ポーランド人、ロマ人、旧ソ連の戦争捕虜、反ナチスのレジスタンス闘士たちが虐殺された。
【翻訳編集】AFPBB News