95歳の元ナチス看守、米国からドイツへ強制送還
(CNN) 米ホワイトハウスは21日、第二次世界大戦中にナチスの強制収容所で看守を務め、終戦後に経歴を偽って米国へ移住していた95歳の男性を国外退去処分にしたと発表した。男性はドイツへ引き渡されるという。
男性は米ニューヨーク在住のジャキーブ・パリ―氏。出身地は当時ポーランド領だったが、現在はウクライナに属している。第二次世界大戦中の1943年、ドイツ占領下にあったポーランドのトラブニキ収容所に看守として勤務していた。
この収容所では同年11月、約6000人のユダヤ人が一度に射殺された記録がある。
パリー氏は49年に米国へ渡り、57年に米市民権を取得した。ホワイトハウスによると、移民当局への申請では第二次世界大戦中、農場や工場で働いたと偽っていた。
同氏は2001年、トラブニキ収容所の看守だったことを米司法省に認める一方、出身地の若者たちは当時、強制的にナチスのために働かされたとして無実を主張した。
03年に市民権をはく奪され、04年には連邦裁判所で国外退去を命じられた。しかし欧州側に受け入れる国がなく、そのままニューヨークで静かに人生を終えるかと思われていた。
セッションズ米司法長官は21日の声明で、68人目のナチス追放に成功したとして司法省の担当チームを称賛した。司法省の捜査、訴追対象になった米国内のナチス協力者は、パリー氏が最後の1人だった。
ワシントン=土佐茂生
トランプ米政権は21日、ナチスの強制収容所で看守として働いていた、ニューヨークに住むジャキーブ・パリー氏(95)を国外退去処分にしたと発表した。ドイツが受け入れることで合意したという。
ホワイトハウスの発表によると、パリー氏は1943年、当時ドイツに占領されていた現在のポーランド・トラブニキ収容所で看守を務めた。この収容所では約6千人が殺害されたとされる。
パリー氏は49年に渡米し、57年に米国市民となったが、ナチスの元看守だった経歴は隠していた。2001年、過去の経歴を政府に認め、03年に市民権が取り消され、04年には司法が国外退去を命じていた。AP通信によると、パリー氏は同日ドイツに移送され、高齢者養護施設に入るという。
トランプ政権は声明で、不法移民の取り締まりで批判を受けている移民税関捜査局が国外退去を執行したと強調。過去の政権は先送りしたが、「ホロコーストの生存者とその家族のための自由という約束を守るため」に処分したと説明。
その上で「米国は、ナチスの犯罪や他の人権侵害を助長した者を容赦することはない。(今回の国外退去処分は)そうした者は米本土に安住の地を見いだすことはないという強いメッセージだ」と訴えた。(ワシントン=土佐茂生)